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日本に、迫りくる南シナ海危機への対策はあるのか HS政経塾スタッフ 遠藤明成

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日本に、迫りくる南シナ海危機への対策はあるのか
2016.10.27 http://hrp-newsfile.jp/2016/2947/
HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆ドゥテルテ氏の反米外交で、領土喪失の歴史が繰り返される?

先般、訪日したフィリピンのドゥテルテ大統領は、東京都内の講演で、「2年以内に、私の国から外国の軍部隊がいなくなってほしい」「行政協定の見直しや破棄が必要ならば、そうするつもりだ」と述べました(ドゥテルテ比大統領、米軍は「2年以内に撤退を」AFP通信、2016/10/26)。

そして、ドゥテルテ大統領に同行したヤサイ外相も記者会見でアメリカとフィリピン両軍の定期合同軍事演習が「中国側の疑念を高めることにつながりかねない」と述べ、現政権による中止の可能性をほのめかしています。

フィリピンの新政権は、南シナ海進出を目指す中国の野心を止めるために米国や近隣諸国と連携するのではなく、この問題を中比間の「話し合い」で解決しようとしています。ヤサイ外相は、米比軍事演習がその妨げになると見ているわけです。

ドゥテルテ大統領もヤサイ外相もアメリカとの同盟(米比相互防衛条約)を維持すると述べましたが、南沙諸島の問題は米比同盟の対象外としました。もし、今後、フィリピンが「米軍」を国外に追い出したら、90年代前半の米軍撤退後にミスチーフ礁を中国軍に奪われた時と同じ事態が繰り返されかねません。

米軍を抜きにしたフィリピン軍は旧式の駆逐艦や旧世代の戦闘機が主力なので、中国海軍の近代化された護衛艦や潜水艦、戦闘機等には、とうてい、対抗できないからです。

◆「人権問題」でそりが合わないドゥテルテ政権とオバマ政権

フィリピンではドゥテルテ氏が大統領に就任してから2カ月余りで1000人以上もの麻薬取引の容疑者が警察官に殺されたとも言われています。これを問題視したオバマ米大統領に対して、ドゥテルテ比大統領は「我々に敬意を持たなければならない」と憤り、フィリピン国内記者会でオバマ大統領を罵倒しました。

ドゥテルテ氏は、植民地の統治者のように上から目線で説教をしてくる米大統領が我慢ならないのですが、9月5日にラオスを訪問したオバマ氏は、その暴言を聞き、翌日に予定した米比首脳会談を取りやめました。

そして、米比関係が冷え切るなかで、ドゥテルテ氏は10月に訪中します。そして、南シナ海を巡る中国の領有権主張を違法と断じた国際仲裁裁判の判決を棚上げまでして、ドゥテルテ氏は中国のインフラ投資を国内に呼び込もうとしたのです。

親中外交はインフラ投資を呼び込むためのポーズなのかもしれませんが、結局、米比関係は修復が難しくなったので、日比首脳会談では、同盟国の日本を通してフィリピンを日米側に取り込むための布石が打たれました。

現状では、フィリピンが日米寄りに一歩近づきましたが、11月以降、人権問題を重視するヒラリー・クリントン氏が大統領となれば、「暴言大統領」が政治を司るフィリピンとアメリカとの関係は、うまくいかなくなりそうです。

◆高まりつつある南シナ海での地域紛争勃発の危険性

26日の日比首脳会談後の共同声明では「両国の種々の友好関係および同盟関係のネットワークが、地域の平和と安定、海洋安全保障を促進する」とうたわれました。基本的に、今の日本は「外交」で紛争を抑止することを目指しています。

しかし、フィリピンの新政権は「頼みの綱」である米軍追い出しに肯定的ですし、米大統領選でヒラリー氏が当選した場合は、人権問題を巡って米比関係が険悪になる可能性が極めて高いのです。

アメリカとフィリピンとの同盟関係にひびが入れば、中国にとってまたとないチャンスなので、今後、南シナ海では地域紛争が起きる危険性が高まっていくでしょう。

◆日本に、南沙諸島をめぐる地域紛争への対策はあるのか

しかし、今の日本では、その有事に対応する準備はできていません。

南沙諸島近辺を通る海上交通路(シーレーン)は、日本とアジアの米軍にとって重要な物資の運搬経路ですが、この防衛のために日本がどこまで動けるのかは、いまだにはっきりしません。

集団的自衛権の行使の要件の中には、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」と記されていますが、果たして、南シナ海のシーレーンの防衛というのは、前掲の「明白な危険」の中に含まれているのでしょうか。

フィリピンという国は、「わが国と密接な関係にある他国」の中に含まれているのでしょうか。

今の日本では次の選挙のための国内政策の議論が盛んですが、南シナ海の情勢が変わりつつある今こそ、有事に適切な判断を下すための準備を進めなければなりません。

そのため、集団的自衛権や防衛法制に関する議論を国防強化に結びつけるべく、幸福実現党は今後も力を尽くしてまいります。

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