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AIIBから透けて見える中国覇権の危険性  第6期生 須藤有紀

須藤 有紀

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ブログ:

AIIBから透けて見える中国覇権の危険性

2016.04.26 hrp-newsfile.jp/2016/2733/

 

文/HS政経塾6期生 須藤有紀

 

◆「台湾の主権は中国にある」?台湾、猛反発

 

4月13日の産経新聞に「台湾 インフラ銀不参加」と題した記事が掲載されました。台湾のAIIBへの加盟交渉が、事実上決裂したことを報じたものです。

 

御存じの方も多いと思いますが、AIIBとは、中国が主導するアジア太平洋地域のインフラ整備を支援する国際金融機関のことです。

 

アジア太平洋地域には、深刻な投資資金不足からインフラ整備の遅れに悩む国が多いため、AIIBの創設メンバーはアジア太平洋地域だけでも25カ国に及んでいます(現在57カ国が加盟)。

 

そのAIIBには申請者が主権国家でない場合、「その国際関係に責任を負う加盟国」が同意するか、申請手続きを代行する必要があるという規定があります。

 

これに基づいてAIIB総裁、金立群(ジン・リーチュン)氏が、「台湾の主権は中国にある」としたうえで、台湾はAIIBに直接申請するのではなく、「中国財政省を通じた申請が必要だ」と明言しました。

 

「台湾に主権はない」「台湾は中国の一部である」。そう言われたのも同然の出来事に、「台湾の尊厳を損ねる」と台湾財政部は猛反発し、交渉は決裂しました。

 

◆台湾の反発はもっともです

 

そもそも台湾と中国の問題は、1949年、共産党と国民党の内戦が終わり、国民党が台湾に敗走したことから始まります。

 

台湾に渡ってきた国民党(外省人)は、独裁政権を敷き、台湾人(本省人)を迫害しました(白色テロ)。

 

台湾は国民党独裁政権下にありましたが、1991年に元台湾総統の李登輝氏が「動員戡乱時期臨時条款」を廃止したことにより、憲政が回復し、その後に民主化します。

 

こうしてやっと民主化に成功した台湾が、今さら中国共産党一党独裁体制の下に入ることなど容認できるはずがありません。

 

「台湾の主権は中国にある」という中国側のスタンスに反発するのはもっともなことです。

 

◆AIIBの隠れた意図

 

ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、AIIBは融資基準が不明確なうえに、中国が30.34%の融資比率(議決権の26.06%)を有することを受けて、次のように、その危険性を指摘しています。

 

「(AIIBの運営では)中国共産党政権の利益のための融資が行われる危険性が高い」

 

「AIIBを中国はまず何よりも自国の経済強化のために活用し、それによって共産党の求心力を維持しようとする」

 

参考:月刊正論 2015年6月号記事『中国AIIBと対峙する日米の「剣」』

http://ironna.jp/article/1432?p=1

 

中国によるAIIBの恣意的運営は、台湾と香港の扱いからも覗えます。

 

AIIBは主権国家としての台湾の正式加盟は認めず、香港の正式加盟は「非主権国としての申請なら問題ない」として承認する方向です。

 

台湾を、香港と同様に中華人民共和国の中の一地域とみなしているのです。

 

◆台湾は国家だ!

 

しかし、アメリカが台湾関係法において台湾を国家に準ずる扱いをしていることや、台湾がWTO(世界貿易機関)、ADB(アジア開発銀行)に正式加盟をしていることなどを見ても、台湾には明らかに独立国家としての実体があります。

 

一行政特区であるかのように台湾を扱い、主権国家としての台湾のAIIB加盟を退けたのは、中国の政治的思惑が背景にあるためです。

 

中国は、近い将来台湾を併合しようと考えており、AIIBを利用してその布石を打とうと画策しているのです。

 

国際金融機関であるはずのAIIBが、そうした中国の覇権主義に基づいた運営をするのであれば、信頼性は大きく失われます。

 

軍事拡張だけでなく、経済的にも覇権を握ろうとする中国を、何としても食い止めなくてはなりません。

 

◆日本が今なすべきこと

 

AIIBは、投資資金額の大きさと比較的簡単に融資が行われることを強調しています。

 

日本は、日米主導のADB(アジア開発銀行)の融資条件を緩和するなど、AIIBを通じた中国の経済的な覇権主義の拡張を抑えねばなりません。また、軍事面での覇権拡大阻止も重要です。

 

そのためには、地政学的に重要な位置にある台湾との協力を強化する必要があります。

 

日本は台湾を主権国家として認めなければなりません。

 

その道筋をつけるために、台湾にTPP加盟をすすめたり、日台の経済関係を強化したりするなど、協力関係を強化していくことが大切です。

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