3.11の東日本大震災から1年を迎えるに当たり、改めてインフラの重要性を考えてみたいと思います。
3月6日付の朝日新聞は、「首都高速道路で2002年度以降見つかった損傷は累計で約26万、うち09年度末時点で9万7千件が補修できずにいた」と報道。
中でも損傷が激しいのは、「築40年以上の部分であり、約7万件存在」、橋脚の亀裂などで通行止めにつながりかねない重大な損傷も存在していたとのことです。
首都高ののうち、「都心環状線」や「羽田線」など全体の3割の90キロは、築40年以上経っています。また日本の物流を支える大動脈である名神高速・東名高速も、それぞれ開通して40年以上経過しています。道路も橋も50年で寿命を迎えると言われており、まさに補修しなければならない時期に来ています。
日本は地震大国です。ザ・リバティ2012年4月号で、遠田晋次・京都大学防災研究所地震予知研究センター准教授は「東京の下ではいくつものプレートが重なり合っていて、M7・5クラスの首都直下型地震がいつ起きてもおかしくない状況」と指摘しています。
中央防災会議は、東京湾北部地震が発生した場合の経済被害の損失額を、直接被害額66.6兆円(建物・インフラ被害)、間接費用45.2兆円の112兆円としています。東南海・南海地震は57兆円、東海地震は37兆円の損失とし、この3地域だけで計200兆円の損失が予想されています。
(http://www.bousai.go.jp/syuto_higaisoutei/pdf/higai_gaiyou.pdf)
高速道路が地震で崩れた場合、建物被害に加えて多くの人命が犠牲になります。また道路を寸断して緊急車両が通れなくなった場合、二次被害につながります。大惨事につながる前に手を打たなければなりません。
2月23日の朝日新聞は、昨年末の時点で、東日本大震災の復旧費として第一・二次補正予算でつけられた道路や堤防、下水道に関しては、予算の3.8%しか執行されていないと報道。(本格復興策を盛り込んだ第三次補正は昨年11月に成立したばかりなので除く)。
その理由は、「復興計画作りが遅れているのに加えて、自治体が人手不足のため、予算要求の資料を作れていないこと。『技術系の職員が足りず、山のようにある道路や施設復旧の図面が書けない』(岩手県大船渡市)『自分たちの作業能力を超えている』(宮城県亘理町企画財政課)。設計図面などを書く技術職職員が3人しかおらず、東京から3人応援が来ているが、手が回っていない。国交省は4月から技術系職員を150人被災地に派遣することにしているが、岩手県のある市幹部は、『時期も遅く、人数も一桁すくない』と冷ややか」としています。
民主党のスローガン「国民の生活が第一」はどこにいってしまったのでしょうか。
「コンクリートから人へ」のスローガンが間違いであったことは、私たちは痛いほどよくわかりました。しかし、民主党からはこの間違いを認め、謝罪をする姿勢は一切見せません。それどころか、“4年間消費税増税は行わない”と言っていた約束を破り、被災地の方々にものしかかる“社会保障のための増税”を成し遂げようと血眼になっています。
復興を言い訳にして、財源がないから増税すると民主党は言っていますが、ここに嘘があります。国債整理基金の余剰金の活用、日銀の国債引き受けによる建設国債の発行など、財源確保の方法は存在します。
むしろ今足りないのは、国家のあるべき姿の提示です。被災地の状況からも復興のビジョンがないために、智慧・人手・資材を集めることができず、復興を進められないのは明らかです。
まずは将来への備えとして、適切な首都圏・東南海・東海地震への耐震対策を行うことが必要です。『公共事業が日本を救う』の藤井聡氏は、「被害予想総額の10分の1である20兆円あれば、被害を半減(100兆円)できる」と指摘しています。確かに20兆円は大きな金額です。しかし、将来を考えるならば今、絶対に投資しなければならない金額です。
また、日本にはデフレギャップが20兆円以上存在しています。20兆円分の需要を創り出すことは、不況に苦しんでいる日本経済にとっても、今まさにやらねばならないことなのです。
それを行わず、日本を大地震が襲い200兆円近い損失が出て、国が機能しなくなってしまってからでは、どうすることもできなくなってしまいます。
公共事業でつくられたインフラが、将来に残すものは、“不安”でもなければ、“子供たちに対するツケ”でもありません。“日本国民の財産・資産”であり、“世界の国々を支え、繁栄に向けて力強く引っ張っていくための発展の土台”なのです。日本全国の未来ビジョンを示し、民間に仕事を回すことで、被災地は復興し、日本は必ず景気回復するのです。
3.11を大きな教訓として、明確な国家ビジョンの下にインフラを強化し、本当の意味での「国民の生活が第一」を一日も早く、成し遂げていかなければなりません!